2017.12.01

かつては巨大な池だった!! 表参道の“けやき並木”の知られざる過去

周東淑子(やじろべえ)

日本初上陸のセレクトショップや最新グルメなど、最先端のトレンドを発信し続ける街「表参道」。オシャレなイメージが強いですが、かつては全く別の顔を持っていたのだとか。歴史を知れば、表参道のお散歩をより楽しめるかも!

 

そこで、9年ものあいだ表参道周辺のエリア情報を発信し続けた地域密着型情報サイト「おもてサンド」(※現在、ウェブサイトは更新終了。SNSへ移行)のディレクター・まあやさんと、同サイトで歴史ページを担当していたライターの重久直子さんと一緒に、タイムスリップの旅に出かけてみました。

 

 

池が広がり、丘があった!? 100年前の表参道の景色

タイムスリップ・ツアーは、けやき並木の真ん中にある歩道橋からスタート。ここから望む並木道は、ドラマやミュージックビデオのロケ地としてよく使われています。この日はあいにくのお天気でしたが、色づいたけやき並木が美しく、これぞ表参道という景色が広がっていました。

洗練された街並みから、「日本のシャンゼリゼ通り」などと言われる表参道ですが、昭和初期までは豊かな自然が残っていたのだとか。

 

重久さん(以下、重久)「表参道は、明治天皇とその奥様・昭憲皇太后をお祀りするために創建された明治神宮の表の“参道”として、昭和9(1920)年に開通しました。それ以前、この辺りには、江戸時代に広島藩を治めていた浅野家の、広大な下屋敷が広がっていたそうです。青山方面にあるユニオンチャーチあたりからこの歩道橋の左手にある表参道ヒルズの裏側にかけて、『鐙の池』と呼ばれる細い池があったようです」

▲大正15/昭和元年(1926)年頃。明治神宮の本殿造営工事の際の様子

まあやさん(以下、まあや)「鐙の池の南側には小高い丘があって、お屋敷の名前をとって『浅野山』と呼ばれていたそうです。表参道をつくる際に切り崩され、土が崩れ落ちないように石垣を作ったといいます。それが今、『ポール・スチュアート』のお店が入っている場所で、石垣は表参道ができた当時のままのものだという話もあります」

 

大名屋敷、池、そして丘……。

海外のブランドショップが建ち並ぶ今の町並みからは全く想像できませんが、わずか100年前は「江戸の名残を残す東京ののどかな郊外」(重久さん)だったようです。

▲明治13(1880)年に測量された原宿周辺図。右中央には「原宿村」、右端には今も表参道交差点近くにある「善光寺」の文字が見える。左上は現在の明治神宮に位置し、ここ一帯が田畑ばかりの田舎だったことがよくわかる ※この地図は(一財)日本地図センター発行の「明治前期測量 2万分1 フランス式彩色地図」より転載したものです

 

イルミネーションで彩られる“けやき並木”に隠された歴史

なお、表参道のシンボルであるけやき並木は、もともと明治神宮ができた翌年1921年に植えられたもの。しかし、太平洋戦争最後の年の1945年5月の空襲で、201本のうち13本のみを残して全焼。今のケヤキのほとんどは戦後に植え替えられたものだといいます。

▲昭和15(1940)年頃の表参道の様子。すでに立派なケヤキが立ち並んでいる

重久「『明治神宮 戦後復興の軌跡』(明治神宮社務所)という本によると、戦後の植え替えは行政ではなく、地元で造園業を営んでいた加勢俊雄さんと、その叔父の春日時太郎さんが、私費を投じて株の買い付けから植え込みまで、約2年かけて完成させたそうです。植えられた当初は、ヒョロヒョロの若木だったみたいですが、70年でこんなに立派に育つんですね」

お二人いわく「幹の太さで、ケヤキが戦前生まれか戦後生まれかが分かるらしい」とのこと。正確にはどの木が戦前生まれかはわからなかったのですが、確かにケヤキの太さは場所によって違う気が…。ところどころ、舗装をめくり上げる勢いで力強く根を張るケヤキも。自然の生命力を感じます。

まあや「このけやき並木は、原宿・表参道に昔から住む人にとっては特別なもの。商店街振興組合の『原宿・表参道欅会』がケヤキの保全に取り組んでいます。また、周辺の建物はけやき並木の景観を損ねないよう、高さを抑えたりしているそうですよ」

 

11月30日から始まった恒例のイルミネーションも、欅会さんが主催しているそうです。地元の人が大切に守り育てた歴史を知ると、今年は少し違った見方ができるかもしれません。

 

 

お馴染みの公衆トイレも、実は高貴な場所だった!?

「ちなみに…」とまあささんが足を止めたのは、表参道ヒルズ横にある「表参道ヒルズ公衆トイレ」。

まあや「このトイレが建つ三角形の土地は、戦後しばらく経った後も浅野家所有だったそうですよ。表参道は明治神宮ができたときに新しく開通した道ですが、このトイレを挟んで向こう側の道は、浅野家のお屋敷がある頃からの古道。この辺りは浅野家の出入口付近で、門番が住んでいたそうですよ」

浅野家といえば、豊臣秀吉の正妻・寧々さん(北政所)を世に送り出した名門。そのお屋敷の一角に、みんなが使えるトイレができるとは、誰が想像したでしょう。

 

重久「トイレを出ると、ガラスの三角形のオブジェが置かれて、時々水が流れているんです。こんこんと湧いて流れる様子は、鎧の池の湧き水を彷彿とさせますよね」

 

歩道橋からスタートしてたったの300mの距離に、こんなにたくさんの歴史が詰まっているとは…!! 次回は、トイレのすぐ横「表参道ヒルズ」の過去に迫ります。

 

【取材協力】

おもてサンド

おもてサンド-Facebook

シブヤ散歩新聞

※「おもてサンド」のキャラクターで、宣伝部長を務める「たぬ」の活躍ぶりを知ることができます

 

【参考資料】

『明治神宮 戦後復興の軌跡』(明治神宮社務所)

 

撮影=澤田聖司

 

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