2017.12.16

70年前の「神宮前交差点」を巡る旅。アメリカ軍人御用達の街だった!

周東淑子(やじろべえ)

「ラフォーレ原宿」と「東急プラザ表参道原宿」が向かい合う「神宮前交差点」。原宿と言えば、若者でごった返すこの交差点の風景を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

「昔この周辺は、アメリカの軍人向けのショッピングストリートだったらしいですよ」

 

そう教えてくれたのは、表参道周辺の地域情報サイト「おもてサンド」(※現在、ウェブ版は更新終了。SNSへ移行)のディレクター・まあやさんと、歴史ページの担当をしていたライターの重久直子さん。軍人とはものものしい響きですが、当時の神宮前交差点付近はどんな街だったのでしょう。おふたりと一緒に周辺を歩き、その歴史について探ってみました。

 

もともとは「米軍御用達」だった!? 戦後神宮前の景色

▲戦後の代々木公園にあったワシントンハイツの様子

重久さん(以下、重久)「1945~1952年の間、日本は米軍を主とした連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあり、米軍の戦闘部隊は1958年まで駐留していました。神宮前交差点に近い代々木公園の敷地には、米軍向けの集合住宅『ワシントンハイツ』があり、軍人やその家族たちが住んでいたそうです」

 

今はのどかな景色が広がる代々木公園ですが、そんな歴史があったとは…!

 

まあやさん(以下、まあや)「そのため、神宮前周辺にはアメリカ人客を相手にするお店が並んでいたといいます。たとえば、キャラクターグッズでおなじみの『キデイランド』は、ワシントンハイツに住む外国人に向けて、本や雑貨を販売するお店だったようですね」

 

重久「また、今は高級スーパーとして有名な青山通りの『紀ノ国屋』も、ワシントンハイツに住む軍人の奥様御用達の食料品店だったそうですよ。日本で最初のセルフサービス・スーパーマーケットだといわれています」

まあや「あ、この先の『オリエンタルバザー』も実はかなり古いお店なんですよ」

 

そう言って、まあやさんが指さす先には、エキゾチックな門構えの特徴的なお店が。店内には扇子など、外国人向けの日本土産が並んでいます。『ワシントンハイツ GHQが東京に刻んだ戦後』(秋尾沙戸子著、新潮文庫)によれば、こちらも戦後はアメリカ

軍人向けのお土産店だったそう。それから70年近くも続いているとは驚きです。

 

伊丹十三に渥美清…数々の文化人が出入りした「セントラルアパート」

さらに今の「東急プラザ表参道原宿」がある敷地には、かつて「原宿セントラルアパート」という建物があったといいます。こちらは外国人向けの高級賃貸マンションだったようですが、実はこの建物が後の原宿・表参道のカルチャーに大きな影響を与えたのだとか。

▲1980年代の神宮前交差点。右正面に見えるのがセントラルアパート

重久「GHQが撤退していった60年代以降、セントラルアパートはカメラマンやデザイナーなど、流行の最先端を行くクリエイターが集う場所になっていきました。映画監督の伊丹十三氏や俳優の渥美清氏、タレントのタモリ氏などが出入りしていたみたいです。80年代には、コピーライターの糸井重里氏も事務所を構えていたといいます」

 

まあや「1階には『レオン』というカフェがあって、そこにたくさんの文化人が集まっていたそうです。セントラルアパートに事務所を持つことが、ある種のステータスになっていったんでしょうね」

▲1972年 セントラルアパート1階「レオン」周辺/『70’HARAJUKU』(小学館)より  撮影:染吾郎

今でも原宿・表参道にはクリエイターの事務所が多いイメージですが、その先駆けが原宿セントラルアパートだったんですね。

まあや「ファッションでいう『原宿カルチャー』は個人ブランドが集まって作り上げているという印象が強い。それは元をたどれば、セントラルアパートの小さなスペースで、ファッションデザイナーが商売をしたことがきっかけだったと聞いたことがあります」

 

重久「私も昔、セントラルアパートの中の『MILK』というお店に行ったことがあります。ビルの間の細い隙間にあるとっても小さなお店だったんですが、店内には若い女の子が殺到していました」

 

ちなみに、この「MILK」は今も神宮前に本店があり、原宿のファッション・カルチャーをけん引し続ける伝説的ブランドとして知られています。原宿セントラルアパート自体は1998年に解体されてしまいましたが、そこで生まれたカルチャーは原宿の街に、深く根付いているようです。

 

今も愛されるヴィンテージマンション「コープ・オリンピア」

重久「名前を『コープ・オリンピア』といって、1964年に完成した日本で初めての“億ション”(※分譲価格が1億円以上のマンション)と言われています。当時の大卒ビジネスマンの初任給が2万円だったといわれているので、信じられない値段ですよね。大女優なんかが住んでいたらしいです」

 

屋上にプールがあったり、受付にはコンシェルジュがいたりと、当時の“最先端”が詰まった住居だったそうです。築年数はすでに50年を超えていますが、今もカメラマンやデザイナーらが事務所を構えているといいます。

 

歴史を探りながら街を観察することで、“トレンド発信地”として表参道の成り立ちが見えてきました。文化的背景にも注目してみると、街歩きはもっと楽しくなりそうです。

 

 

撮影=澤田聖司

 

<参考文献>

秋尾沙戸子『ワシントンハイツ GHQが東京に刻んだ戦後』(新潮文庫、2011年)

 

<取材協力>

【OMOHARA写真展 第三弾<90’s 表参道原宿>】
東急プラザ表参道原宿の開業5周年を記念して開催する、スタイリストの中村のん氏ディレクションによる写真展。今回は、1990年代の原宿で若者たちから生まれた「ストリートカルチャームーブメント」がテーマ。作品は館内各所に展示。5階では、<70’s,80’s,90’s総集編>の展示も実施。会期は12/31(日)まで。入場無料。

 

 

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