2018.01.11

エンタメ都市・SHIBUYAへ。100年に1度の再開発を手がける東急電鉄インタビュー

佐藤宇紘

情報の発信地であり、世界中から観光客が殺到する都市・渋谷。そんな街が「100年に1度」とも言われる再開発プロジェクトで生まれ変わろうとしているのを知っていますか? 昨年オープンした「渋谷キャスト」に続き、今年も新たな「渋谷の顔」が2つ誕生します。

 

最終的な完成を迎える2027年、渋谷はどんな変貌を遂げているのでしょうか? 開発を手がける東急電鉄の渋谷まちづくり担当、亀田麻衣さんに話を聞きました。

 

 

再開発プロジェクトのコンセプトは?

——今回の再開発では、商業施設の建設以外にも交通網、環境整備などいろいろな点で改良が加えられます。亀田さんご自身がとくに注目している点はなんでしょうか?

「一番は渋谷川の再生ですね。平常時はまだほとんど流水がない状態ですが、官民が連携し、清流復活水を活用したせせらぎをつくっています。同時に東横線の線路跡地を再利用して、渋谷から代官山へと続く約600mの遊歩道も整備中で。川沿いには緑も植える予定なんですよ。渋谷の駅前にはなかった“癒し”の空間なので、どんな人の流れが生まれるのかワクワクしますね」

 

——渋谷に“癒し”という響き、新鮮です。プロジェクト全体のコンセプトを教えてください。

「コンセプトは『エンタテイメントシティSHIBUYA』。これまでも渋谷は、ライブハウスやアパレルの路面店も多いほか、車道を歩行者に開放してのファッションショーや盆踊りなど、独自の文化を発信してきました。こうしたサービスやイベントを、誰がいつ来ても楽しめる街にしたい。目的なく訪れても『お、なんか面白いことやってるな』と」

 

——確かに、そんなイメージはなんとなくありますね。

「それをもっと強化したいです。そのためには、アイデアを表現できる場を作ること。たとえば、昨年4月にオープンした『渋谷キャスト』も、広場と多目的スペースがあってイベントを開催できるようにしています。クリエイターの挑戦しやすいフィールドを用意することで、街にも化学反応が起こると期待しているんです」

渋谷駅周辺、再開発完成イメージ/渋谷駅前エリアマネジメント

 

再開発プロジェクトで渋谷の何が変わる?

今回の再開発は、2012年開業の「渋谷ヒカリエ」からスタート。2017年にはキャットストリートと明治通りの交差地点に「渋谷キャスト」、2018年秋には、国道246号で分断されている渋谷駅南側に、商業施設とオフィス、エンタテイメントスペースが複合する「渋谷ストリーム」、保育所やホテル等の複合施設を整備し、渋谷川沿いの遊歩道から代官山方面ににぎわいをつなぎ、駅前とは異なる魅力を発信する「渋谷代官山Rプロジェクト」も誕生予定です。東京五輪の開催後もプロジェクトは続き、2027年度の「渋谷スクランブルスクエア」中央棟・西棟の完成とともに大団円を迎える予定だそうです。

 

——街全体のサイズが広がりそうですが、どんな狙いがあるのでしょう?

「じつは渋谷って街そのものだけじゃなくて、隣の駅もみんな魅力的なんです。原宿、表参道、恵比寿、代官山、代々木公園、広尾、神泉…。緑道を整備したり、未開発だったエリアにランドマークを新設したりするのも、渋谷を起点に他の街へと歩いていく動線を作るためです」

 

渋谷といえばスクランブル交差点方面のイメージが強いもの。JR線や国道246号、坂の多い地形によって街が分断され、残念ながら全体の3分の2が「渋谷」と認知されていないといいます。この課題を解決するべく、再開発では駅周辺に、歩行者デッキや地下から地上への移動を便利にする「アーバン・コア」を整備し、東西南北への回遊性を向上。駅の混雑を和らげ、初見客やお年寄りにも便利で快適な街にするのも狙いです。

東口アーバン・コア周辺の将来イメージ/渋谷駅街区共同ビル事業者

 

宮益坂上、道玄坂上までフラットに移動できるようにして、渋谷の谷底地形を補う構造になっている/渋谷駅街区共同ビル事業者

「これからは『原宿から渋谷を通って代官山まで歩いていく』のも当たり前にしたい。再開発によって一本線上に繋がりますからね。大人の女性だったら、昔好きだった原宿からスタートし、渋谷ヒカリエなどに立ち寄って、渋谷川を眺めながら今好きな街・代官山へ…とか、素敵じゃないですか?」

 

 

一大プロジェクトゆえの難しさは?

——しかし、これほど大きな開発となると地元の調整も難しそうです。

「先ほどお話した通り、駅ビルで完結する開発ではないので、むしろより魅力的な街にしていこうという想いで一緒に進めています。たとえば、弊社では『渋谷フォトミュージアム』という世代を超えて残したい渋谷の写真を保存するサイトを運営していて。地元の人から古い写真をお借りして掲載したり、現在も『変わっていく姿を写真に残していこう』と話し合ったりしています。みなさん渋谷が大好きなんですよ。いろんな人に渋谷を楽しんでいただくために、地元・商店街の方と手を取り合ってさまざまな取り組みを行っています」

——今回の再開発は、渋谷区などの行政のほか、様々な事業者がかかわる一大プロジェクト。その中心的な役割として、大変なことってありますか?

「意思決定に時間はかかりますね(笑)。社内ならトントン拍子に進む話も、各社ともに決裁を取っていきますから。それでもほぼ予定通りに進むので、日本企業の時間厳守の意識ってすごいなと。あと、工事が本当に難しい。東急百貨店東横店東館・中央館の解体工事は、終電後から始発までの深夜作業でした。線路の頭上だったので、電車の安全な運行のためにはボルトひとつ絶対に落とせない。安全第一だからこそ、時間を必要とする部分はあります」

 

 

これまでの渋谷、これからの渋谷を考える

ちなみに、最近では渋谷が“池袋化”しているともささやかれています。ファストファッションの台頭、アクセスのしやすさによる街のブランド力低下などから、没個性化しているとも…。

 

——未来の渋谷は一体、どこへ向かっていくべきなのでしょうか?

「今、世の中は変わってきています。私が女子高生の頃は109に行かなきゃおしゃれな服を買えなかったけど、今はネットでなんでも買えますよね」

——確かに、当時とはインフラが違いすぎて単純比較はできませんね。

「じゃあ、今の渋谷がどんなとき注目されるかというと、ハロウィン、W杯、年末カウントダウン。数万人が一気に押し寄せて、見ず知らずの人と盛り上がるわけですよ。ネットじゃなくリアルで繋がる価値が、渋谷で再定義されてきているんです。

 

ビルの中に囲い込むのではなく、実際に街を歩いてもらって、人と人の交流から新たなカルチャーが生まれる。街の導線を広げることで、それを後押しできればと考えています」

 

最後に亀田さんは、「エンタテイメントシティSHIBUYA」のもうひとつの意味も教えてくれた。

 

「エンタテイメントには『楽しむ』とか『おもてなし』だけじゃなく、『受け入れる』という意味も。クリエイターのフィールドを用意したり、屋外での楽しみ方を提案したりすることで、挑戦したい人を受け入れられる“余白”を残していきたいと思っています」

 

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